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2007.12.27

研究レポート

◆原料産地視察研修について

◆日程:平成19年11月19日(月)~平成19年11月22日(木)

◆研修地:中華人民共和国 吉林省 長春・白城/p>

◆参加者:
成田食品株式会社 副社長 佐藤 ヨシエ
成田食品株式会社 荒 孝子
成田食品株式会社 本社生産本部第7工場係長補佐 安達 邦康
成田食品株式会社 第1保全部主任 中島 忠則
成田食品株式会社 本社生産本部育成管理課主任 高橋 公一
株式会社東邦銀行 相馬支店 融資渉外次長 菅野 晃一郎
以上6名ならびに現地での専属通訳者 李女史/p>

◆行程:
◎1日目【移動日】
 長春着/ホテル泊
◎2日目【白城へ移動・桃南・白城の緑豆選別工場見学2箇所】
 桃南市へ移動/桃南の馬氏の緑豆選別工場見学
 白城市へ移動/白城市内の緑豆選別工場見学・楊氏の緑豆選別工場見学
◎3日目【長春へ移動・通楡緑豆選別工場見学1箇所】
 通楡市内にて田氏の緑豆選別工場見学
 長春へ移動/長春市内ホテル泊
◎4日目【移動日】
 帰国

1.はじめに

今年ほど食品の品質が疑われた年があっただろうか。日本国内だけではなく、世界各地で食品の偽装問題が発覚し、創業150年を超える老舗でさえ食品の賞味期限、製造年月日、虚偽の原料表示を平然と会社ぐるみで行われていたことが明るみとなり、毎日ニュースを賑わせてきた。
 どの商品も日本国内、世界中の消費者に愛されてきた商品で、合理性の追求、業績一辺倒の考えの暴走や、創業者達が脈々と守り抜いてきた「商品の品質」を 軽視した結果が、老舗と呼ばれる店を畳まねばならない結果を招いたのである。今、消費者が一番考えていることは、食に対する「安全」であり「品質」なので はなかろうか。
 私が担当させていただいている成田食品は創業から「もやし」の品質に何処までもこだわり、けして手を抜くことをせず、とにかく最高品質の「もやし」を育 成し消費者に提供してきたことから、今はこの「品質」が全国の消費者に認められ、国内でも随一の「もやし」生産・販売会社となっている。
 「品質」へのこだわりは、社長をはじめ社員1人1人が一番大事に考えていることであり、日々の仕事はこの「品質」の維持のために行われているといっても 過言ではない。  今でも、これだけ高品質の「もやし」を提供しているが、成田食品では、さらに安く品質の安定した「もやし」を消費者に提供するために、もやしの原料とな る中国からの緑豆を商社に任せることなく中国生産者(集荷業者)から直接買い付けることにより、さらに高品質の緑豆を安く消費者に提供しようという壮大な 計画が昨年度から徐々に進められていた。
 原料となる緑豆は生産現場から確認しなければ、品質は維持できないという考えから、今回、佐藤副社長を始め、生産・仕入担当の社員が中国の緑豆生産地に 直接出向き、輸入する予定の緑豆を確認してくることになり、私も一担当者(消費者)として高品質の緑豆はどのように育成され、集荷されるのか、その緑豆を 生み出している中国の現状(経済・物流・物価・将来性等)、さらには中国産の緑豆使用の有効性・将来性を確認してみたくなり、今回の中国の緑豆原産地視察 研修に参加させていただいた次第である。視察研修にあたっては調査したいことは多くあったが、移動時間も長時間に渡るとの話を聞いていたので、テーマを絞 り込み視察目的を次の4つとした。
・中国における原料産地視察研修の目的
(1)中国の緑豆の生産環境と品質の確認
(2)中国の農産物の現状と今後の方向性
(3)中国産緑豆輸入の有効性と今後について
(4)中国経済の現状とこれからの方向性を探る

2.行程1日目

1日目はまったくの移動日。当日は仙台空港に11時に集合し、12時発の仙台発長春着の中国南方空港の飛行機にて一路中国長春へ。
 現地には現地時間で4時ごろ到着、当地は今年初めての雪だったためか航空内は混雑していた。空港にはすでに通訳の李さんが到着しており、丁寧な日本語で 我々一行を迎えてくれた。現地の気温は既にマイナス20度。極寒の地。空港の外に出ると出口のターミナルには今回の行程の運転手をする(こちらも李氏(男 性))が到着しており、運転手の李氏が運転するワゴン車にて我々は長春市内のホテルへ向かった。
 空港の外は一面の銀世界。空港から長春市内まで6車線分はある広い高速道路がどこまでも続いていた。道路の側面には吉林省のサッカーチームがアジア大会の中国代表になったことを讃える中国語の横断幕が数百メートルに渡って飾ってあった。
 ホテルに着くと既に現地の時間では夕方6時ごろになっており、我々は移動の疲れを出さないように、到着と同時に市内のレストランで夕食を取り、その日は早めに休んだ。

3.行程2日目

ホテルを8時頃出発。一路桃南へ。現地は今年一番の雪。桃南までの行路は全て一面の雪とどこまでも続くトウモロコシ畑と緑豆畑。 2日目、白城から50キロに位置する桃南にある馬氏の緑豆の選別工場を見学した。工場に入るとまず、風選機と呼ばれる風と振動による選別機と選別する前の 緑豆、選別後の緑豆を見せられた。選別する前の緑豆は不揃いの緑豆で、小石も混じっている状態の物で、機械を通した豆は、きれいに粒の揃った緑豆となっていた。

次に手選別工場へと案内される。工場に入ると学校の教室のように机が並べられた広い工場の中に40名を越える女性工夫が黙々と緑豆の選別作業を行っ ていた。机一杯に緑豆が載せられ、それを一粒ひと粒『ぽつぽつ』と女性工夫が出荷可能な緑豆の粒を選別する作業をおこなっていた。
 手選別された緑豆は手に取って見ると、綺麗に粒の揃った緑色をした粒で、色、つや、大きさとも申し分ないものであった。同行した成田食品の生産担当者の話 では、これだけ良好な緑豆でも発芽率を見てみないと高品質の緑豆かどうかは分からないという。そんな理由からか、同行した社員はみな様々な箇所に置いてあ る袋の緑豆をサンプルとして、袋に取っていた。社に戻ったら発芽率の検査をするそうである。さらに驚いたことは、成田食品ではこの輸入した手選別後の緑豆 をさらに高性能な選別機に掛け、最終チェックしてから使用するという。そこまでしなければ最高品質は維持できないとの話であった。私は同行した社員にこの 話を聞き、目の前で手選別を続ける女性工夫を見て、品質を守るということは、どれだけ莫大な労力がかかるかを思い知らされた。
 現場の工場長に聞いた話によると女性工夫1人1人に1日当たりの作業量のノルマがあり1日1人約100kgの選別が必須とのことであった。1日の労働は朝 6時から夕方の6時までの12時間労働。休み時間は少々あるものの、中国の法律上問題あるかは不明であるが1日のノルマが終了しないうちは無給で7時~8 時まで残業を行うそうである。
 作業しているのは皆、家が農家の40歳以上の女性が多く、1日この仕事をしているとめまいや肩こりが何日にも渡って取れない過酷な仕事であると女性工夫 が話していた。私たちは女性工夫の皆さんに、日本の消費者が安心してもやしを食べることができるのは皆さんの作業のおかげだとお礼を言い、工場を後にした。

私たち一行は、桃南を出て白城へと向かった。行路の雪道がひどく白城に到着したのは夕方の5時を過ぎていた。白城では楊氏の選別工場を見学。この工場の入り口には驚いたことに『成田食品選別工場』という看板が掲げてあった。
 こちらの選別工場でも40名前後の女性工夫の方達が1粒ひと粒選別作業を行っていた。皆目を擦り擦り机の上に山盛りになった緑豆と格闘していた。これだけ 過酷な労働をして賃金は幾らなのかと工場長に聞いたところ月給600元(日本円で約9000円)との話であったが、これでも今年はこの手選別の作業員の集 まりが若干悪かったことから、500元から600元に引き上げしたそうである。それでも農村部である、この白城では農家の農業による年収は1,500元に も満たず、家計を支えるため農家の女性は冬場の休閑期に収入を上げないと生活ができないとのことであった。
 その後、我々は事務所に案内され、今年の緑豆の出来具合の説明を、楊氏から受けた。楊氏の話によると日本向け特に成田食品向けの緑豆の出荷規準は外国向 けでは一番厳しいという。通常、風選機による選別は1回掛けたのみで手選別を行い出荷するとのことであった。それを成田食品向けの緑豆については2回風選 機に掛けてから手選別を行わないと成田食品が求める品質は維持できないという。また、緑豆を陸送、船積みする際も、水に濡れてしまったり、機械の油が垂れ てしまった袋については製品価値がなくなり、袋ごと新しいものに取り替えなくてはならないという。
 この説明に対し、成田食品の佐藤副社長は、今、日本・アメリカでも中国の食品、工業製品については、有毒物の混入等の発覚により消費者の目が極めて厳しく なってきており、信用回復のためにはこれまで以上の品質管理とモラルアップが必要との説明をしていた。また、トレーサビリティの問題から、残留農薬の規準 等も厳しくなっているのでこれからは緑豆を作る段階からの厳しい管理が必要であるとの指針を示した。
 これが海外の消費者が求める食品に対する安全水準であることを、経営者の楊氏は理解していたが、一般的な中国人は、経済的な理由もありまだまだ品質に関す る意識が低いことを上げ、食品全体おける品質管理はまだまだ難しく、水準の引き上げにはまだまだ時間を要することを話していた。
 この工場の見学で2日目の工場見学が終了し、その後、我々は事務所を後にし、今夜の宿泊する白城市内のホテルに向かった。ホテルに到着すると既に夜の7時 を過ぎており、我々は早々と楊氏に案内された料理店で食事を取り、明朝出発が6時20分ということもあり、早めに休んだ。

4.行程3日目

白城市内のホテルを6時20分に出発し、一路、通楡へ。昨日きた道を戻る形となる。
 10時頃通楡に到着。通楡では、田氏の経営する緑豆の選別工場を見学した。
 田氏の選別工場では白城の選別工場にはない、大型の選別機が動いていた。
 この工場の選別機はフル稼働状態。今選別している豆が成田食品に出荷される分であるとの説明であった。選別している緑豆を見ると既に1回風選した緑豆らしく、粒の揃ったきれいな緑豆が機械に掛けられていた。
並んで動いている機械は古いものであったが、そこで働く社員は皆、緑豆の取り扱い方が極めて丁寧で、ゴミが混入しないように緑豆の入った箱はけして床に直接置くことはなかった。 また、選別前の緑豆についても、野ざらしではなく、変質を防ぐため袋ごとに温度の安定した倉庫で保管されており、選別機に掛けるものだけその倉庫から搬出され、ひとつひとつ丁寧に機械に掛けられていた。

次に出荷する緑豆が保管されている倉庫に案内された。倉庫には200トン程の成田食品向けの緑豆が整然と並べられており、袋には輸出用の札が既に 付けられていた。横にはアメリカ向けの緑豆の袋が並べてあった。中を見せてもらったが、アメリカ向けの緑豆は日本向けと違いやや不揃いの緑豆が入ってい た。この状態でもアメリカの輸入規準には十分とのことであった。
 倉庫を出ると、手選別工場の方に案内された。こちらの手選別工場は広く人数も60名近い人数が作業していた。

こちらの工場の労働条件を工場長に聞くと朝7時出勤の夕方5時退社の10時間労働で、給料は一月780元。労働条件としては、白城の工場の女性工 夫よりは条件が良いようであるが、通楡は市街地であるため物価も高く、180元程度の月給の差は感じられないとの説明であった。
 工場内はゴミひとつなく整然と整理されており、床のうえにも緑豆が散らばっていなかった。また、女性工夫のスキルも他の工場よりも高いようで、選別のス ピードが白城の工場よりも2倍は速いように感じた。以前、佐藤副社長が品質のよい緑豆を出荷する工場は緑豆の扱いが丁寧で、工場内に緑豆等が落ちていない と仰っていたが、まさしくこの工場の設備は古いものの、全体が整然としており、豆の取り扱いが極めて丁寧であった。
 後で聞いた話であるが、我々が中国を訪問する1週間前に、佐藤社長が買付のために長春・白城にきたが、丁度ドルの為替相場が円高に振れ、緑豆も若干値上 がり傾向にあったため、他の選別工場の緑豆は品質と価格が折り合わず、契約に至らなかったが、ここ通楡の田氏の選別工場の緑豆については、品質・価格とも 申し分ないとの理由から数百トン単位での買付け契約を行ったとの話であった。ただ、契約した1番の理由は何度取引しても真面目に且つ如何なる時も手を抜か ず一生懸命に対応してくれる田氏の人柄を信用したからだという。
 遠い中国で何度も顔を合わせ、交渉と取引を重ねて、全ての約束をお互い守ってきたからこそ、この信頼関係が出来たのであろうと思う。
 その後、我々は田氏の工場を後にし、車で長春へ向かった。長春には夕方の4時頃到着したことから、この機会にと佐藤副社長のご好意で、中国の国営銀行で ある中国銀行長春支店を訪問させてもらい、実際に円から元への両替手続きを窓口でさせて頂いた。手続きの時間が非常に掛かりサービスのレベルもそう高いも のではなかったが、悪い意味でも良い意味でも私には良い経験になったと思う。
 夕食は今回の行程を振り返り、高級料理店にて全員で厳かに食事を頂いた。各自の感想を最期に述べたが、皆、緑豆の取り扱いに対する考えが改められたそうである。これで2日間に及ぶ長春・白城視察は終わりを迎えた。

5.行程4日目

4日目は帰国のための移動日。朝8時にはホテルを出発し、長春空港へ。4日前は雪が積もっていた道が、完全に除雪されていた。道の両片に学生が並ん でいる。通訳の李さんの話では、除雪作業は市民の義務となっており、特に学生については毎朝、勉強する前にこのように皆で道路にでて指定されたエリアの除 雪を行うという。考えてみれば、長春から白城に続く道の途中でも市街地では、何十人もの人がスコップを持って除雪作業をしていたことを思い出した。中国で は各企業においても除雪作業が義務化されており、その決められたエリアの除雪を怠るとその企業もしくは個人に罰金が課せられるという。この政策は北京オリ ンピックに向け国土美化のため国策として近年導入された制度らしい。私はこのようなボランティアを強制化してしまう中国の行動力と、中国の北京オリンピックに掛ける意気込みを感じた。
 我々は空港に到着すると両方の李氏(通訳と運転手)に別れを告げ、仙台に向け、帰路についた。

6.調査事項その1【中国の緑豆を取り巻く環境について】

緑豆については、世界各地生産可能な農産物であるが、現在この緑豆については世界的な価格高騰が続き、一昨年度から比べると1.2~1.5倍に価格が上昇しているのが現状である。
当然、ここ中国における生産地についてもこの影響はでており、ドル安も手伝って価格は高騰している。また、人件費の高騰の影響も少なからず出ており、先でも述べた通り現在中国、白城の手選別の工場では、女性工員の給与を1ヶ月500元から600元に引き上げたそうである。そうでもしないとこのような過酷な 作業を強いる仕事には女性が来てくれないらしい。

価格が高騰すれば当然に生産者は潤うはずであるが、もう一方で生産者には3つの問題を抱えている。1つは生産者の減少、2つ目は昨今の農産物の品質にお ける世界的な規制運動の動きがここ中国にも少なからず影響し、化学肥料を極力押さえなければならないとういう問題がある。ただ、ここ中国では生産者におけ る生産物に対する保障はなく、無農薬栽培による病害虫の被害が発生した場合、その被害はきわめて大きいだけではなく、それに対する保障もないので、海外へ の輸出品の規制規準に合わせるには中国の生産者は多大なリスクを負わなければならないという回避できない問題がある。最後に3つ目は砂漠化による耕作可能 地の減少である。
 長春から白城に向かう車の中から、ひたすらに続くとうもろこし畑を見たが、しばらく続くと、何も生えていない荒涼とした大地があった。地肌はねずみ色を しており、現地の人の話では、アルカリ性の石灰質の砂のために草も生えず、何も育たない土地であるとの話である。このような土地が森林の伐採と、大気汚 染、過度な連作の弊害により、中国本土一体に広がっている。
 アメリカに次ぐ農産物の生産地ではあり、低価格を背景に莫大な量の農産物を海外に輸出し、当時の日本を超える勢いで発展途上の道を突き進んでいる中国で はあるが、生産地の減少、人件費の高騰、化学肥料の規制、生産者の減少等、中国の農業者の今後の未来としては明るい話ばかりではないことを垣間見た。

7.調査事項その2【今後の中国産緑豆の行方】

2日間の緑豆の産地訪問により、分かったことは現在の中国の安価な緑豆の生産を支えているのは、生産における間接経費となる人件費の安さにつきると 言える。農産地においては、生産者の所得年間1500元程度であり、売価も安価であることもさることながら、それを集荷し選別する際の人件費が極めて掛か らないことが主たる要因と思われる。
 しかし、2日間に渡り、現地生産者、集荷業者への聞き取り調査(質問等含む)の話を統合すると近い将来には、価格帯はアメリカ産緑豆並に上昇することが 危惧されている。要因としては3つあり、1つは農業従事者の減少であり、2つ目は中国国内の生産者の人件費の高騰、3つ目は緑豆の中国国内での消費量拡大 による緑豆自体の価格上昇である。白城市内の農業従事者の多くの平均年収は1500元に満たず、現在の日本と同様、農業のみの収入では平均的な生活が困難 な状況であり、経済発展が進む一方で若年層の農業離れが著しく、広大な畑はあるものの、耕作する者がいない地域が出てきていることである。2つ目である人 件費の高騰については、北京オリンピックに向け中国政府は経済についても拡大路線を進めており、都市部における外国企業の進出により平均的な人件費が高騰 しており、その影響が郡部にも影響し、中国国内全体の平均賃金を押し上げている。3つ目の緑豆の中国国内、特に中国南部の都市部での消費量拡大により、食 用・飼料用の豆は中国国内でも不足気味になってきているのが現状である。中国は下記の資料が示す通り、世界でも2番目の豆の消費国なのだ。

8.調査事項その3【中国国内の物流について】

長春市内から白城までの移動で一番不自然に思ったことは、順路、町から町に入る際かならず道に料金所があることであった。ほぼ20キロごとに1箇所 あるのだ。1箇所で必ず18元もの通行料を支払う。中国では、郡部の商品を陸送で運ぶ場合、この通行料(税金)が輸送コストの増大に拍車をかけているのだ と緑豆の集荷業者が嘆いていた。つまり、輸出する港に近い生産地の商品ほどコストが掛からず安価に調達できるとのことである。
 鉄道や国道網は中国全土を完全に網羅しており、主要農産地に行けないところはないとのことであるが、国土が広いことと、燃料費以外のコスト(通行料)が 掛かるという現状を考えると、一度にどれだけ大量の物資を運べるかが、物流におけるコスト削減となるので大型トラックが必要となるが、中国国内では10ト ン以上の大型トラックはまだまだ高価であり、普及率が極めて低くアメリカ社会のような大量物流網の実現には、あと10年間程度掛かるといわれている。

9.調査事項その4【吉林省内都市部の経済から推測する今後の中国経済】

現在、中国国内は北京オリンピックに向け、国土の道路網整備、都市部の開発整備、環境問題への取り組み等、国をあげて取り組んでいる。海外からの投資を歓迎し、国内経済の整備に躍起になっているのが現状である。
 中国の人口は10億人。この人口が日本と同じように生産者ではなく、消費者に回るときがくれば、現在の中国経済は一気に先進国レベルまでになることが推 測される。ただ、発展の一方で、極端な郡部と都市部での経済格差・賃金格差・発展格差は拡大する一方であり、さらに経済が発展すれば、深刻な食糧問題・環 境問題が突出することが危惧される。この国はこれからの国ではあるが、人口も多く、国力もあるがゆえに、一歩発展の仕方が不適切な方法で拡大していけば、 世界規模での問題に発展しかねない問題も抱えているといえる。

10.調査事項その5【今後のもやしの原料調達について】

中国の経済発展の現状から思慮した場合、中国の緑豆については当面は安価での調達は可能と思われるが、生産量の減少、国内消費の拡大といった問題か ら、確実に値段が上昇するのは必須であるといえる。こうなった場合、より安価なアジア近隣諸国からのより安価な緑豆を調達が必要となってくる。品質でどう しても規準に合わない場合は、アメリカ・カナダ産の緑豆を利用する必要がでてくるものと考えられる。大豆の生産においてアメリカ・ブラジルの方が、生産力 が高く、今後、緑豆の買付対象先として、ブラジル等の緑豆も徐々に検討しなければならないのではなかろうか。

11.調査事項その6【成田食品の経営戦略における中国産緑豆の直接仕入れの位置づけ】

日本国内では、消費者物価指数が上昇しているにも関わらず、デフレ傾向のスピードが緩んでいない状況である。この国内環境の中で、成田食品として は、販売網の拡大、系統からの脱却による、流通市場への直接販売、商社を通さず直接中国の生産者から仕入れるなど、これらを迅速に実行に移してきた、この 一連の経営戦略は経費圧縮による収益の維持と、他社との価格競争力の維持のための対抗策である。社内においてはワークフローシステムによる仕入・生産・販 売の一元管理化が進められており、徹底的なロス削減に会社を上げて取り組んでいる。
 昨年度からの緑豆の高騰を受けても、成田食品グループが現在の価格帯で商品を提供できるのは、変化に対し迅速に仕入・生産・販売システムを変更し現在の市場でも十分収益をあげられる体制に社長を中心に迅速に対応したところが大きい。

12.最期に研修を終えて

私はこの研修に参加するまで、成田食品のもやしの原料となる緑豆は単純に中国の耕作地帯から集荷され日本に輸入されるものと思っていたが、実際、中 国の集荷している現場に行き、日本の成田食品のもやし工場にたどり付くまでこれだけの手間と暇が掛かっていることを知り、この製品となったもやし1袋の内 側には、幾人もの人達の汗と苦労が込められていることを考えさせられた。 また、品質の維持のためには莫大な量の労力・コストが掛かることも知った。普段から、成田食品の佐藤社長が工場で豆をこぼすな、もやしを大事に扱えと、社 員に言い続けているが、確かにこの中国の現場を見れば、緑豆の1粒1粒、もやしの1本1本が大事に見えてくる。たった1粒でも中国のあの女性工夫の1人が 「選び抜いた1粒」なのである。おこがましいかもしれないが成田食品の社員のみなさんには今まで以上に豆を大事に扱ってほしいと思う次第である。
 また、今回中国の集荷業者と会ってみて分かったことであるが、中国の集荷業者については決して日本人と物の考え方がかけ離れているものでもなく、何度も 佐藤社長・副社長を始め、仕入担当の方達が訪問と交渉を重ねるにつれお互いの信頼関係と友情ともいえる強い絆が出来上がっていることを感じた。お互い、 「最高品質の緑豆の製品」を消費者に届けることを目標に、私利私欲を求めず、約束・契約を決して反故にしない関係を構築しているのである。
 今、中国産の食品については、日本・アメリカの消費者の厳しい目にさらされているが、今回の研修で、この白城・長春地区の業者が出荷する緑豆についての 品質は申し分なく、これだけ安価で高品質の緑豆はこの中国白城・長春からでなければ手に入らないであろうと思われる。これから、物流や選別手段の高度化に より他の地域(アメリカ、もしくはブラジル等)で出荷される製品との価格や品質の差は減少してくるものと考えられるが、もうしばらくはこの中国との緑豆の 取引は品質の維持といった点から見ても成田食品にとって有効であると自分なりに考え至った次第である。

最後に、このようなすばらしい研修に参加させてくれた成田食品(株)に感謝申し上げるとともに、私のような「もやし」の製造については何も知らな い外部の人間を、自分の会社の社員と同様に面倒を見てくださった佐藤義信社長・佐藤ヨシエ副社長に深く御礼を申し上げ、私の本研修の報告の締め括りとした いと思います。
本当にありがとうございました。

以上

1日目:長春市内

2日目:長春市外の道路

2日目:選別機

手選別を行う女性工夫

2日目:楊氏の緑豆選別工場正門

2日目:出荷前の緑豆

3日目:風選機

3日目:手前がアメリカ向け緑豆・奥が成田食品向け緑豆

3日目:手選別工場

4日目:長春空港内

調査事項1:耕作が不可能な荒地