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2006.08.11

成田食品 原料・水・生産工程にこだわり

 価格、供給の安定性に優れ、市場の優等生ともいわれているモヤシ。市場規模は約620億円(出荷金額ベース)。その中で、16%のシェアを占める業界の リーディングカンパニーが成田食品(株)だ。同社では、中国にある数ヵ所の農場で生産された緑豆などの原料にコードを付けてトレースできるようにしている ほか、生産過程でもさまざまな工夫を施している。そのモヤシにかける情熱を取材した。(木下猛統)

 現在、わが国に輸入されるモヤシ原料は、年間で5万3000t。このうち4万7700tが緑豆だ。成田食品(株)ではこの緑豆を年間6300tも使 用する。しかし、この緑豆は約667平方メートル(中国の面積単位1ムー)当たり500kgしか収穫できない。さらに、その中で同社の規格に適合する緑豆 はおおよそ50kgだという。普通に考えれば、量を確保するのが厳しい原料なのだが。
 「全体のパイの小さいモヤシ業界の中で大量買付けする当社は、中国のシッパーにも有名です。だからこそ粒の揃った良質の緑豆を先買できるのです」と佐藤信一郎専務取締役。
 収穫した緑豆を集荷場で手選別、その後、麻袋に入れてコードを付けて管理している。
 「以前、良質の緑豆とそうでない緑豆が混ざることがあったので、4年前から、集荷場で選別してコードを付ける方法に変えました。これにより問題は解決しました」

 確保した良質な緑豆は、本社工場、栃木工場、岐阜工場の3ヵ所で育成する。この生産拠点での工夫は大きく2つある。そのひとつが原料の温湯殺菌だ。
 「業界では塩素殺菌が主流ですが、当社では創業以来、極力塩素を使用しないように温湯殺菌をしています」
 もうひとつは育成方法。一般的には発芽させた原料を2×2mの箱に入れ、複数個まとめて育成室で成長させる。しかし、同社では基本的に10×10mの部屋で育成を行い、その部屋(育成室)ごとに育成管理を行っている。
 「モヤシの育成では、発芽後の水のかけ方や温度管理などが毎日変わってきます。このため最適な条件で育成するために、育成室内を同じ日に発芽した原料で統一したのです。
 部屋にしたのは、箱の縁でどうしてもできてしまう発育不良のモヤシの量を減らすためです」
 さらに育成日数も9~10日と通常の7日より長めにしている。ゆっくり育成することも、良質なモヤシ作りには大切だからだ。
 この生産スタイルは、品質を追求するうちに行き着いたものだ。同社のモヤシが日持ちするということは、市場でよく聞く話だ。これもモヤシへのこだわりがなせる業だろう。
 「モヤシでのノウハウを生かして、野菜の水耕栽培にも進出するという夢も模索中です」
 実は、これまでモヤシは工業製品に分類され、野菜に分類されるようになったのはつい最近のこと。国内自給率アップのため、農水省も「企業による野菜作り」を推進しだした。このフォローの風と蓄積されたノウハウを生かし、同社は「日本一の野菜工場」を目指す。

▽問い合わせ=成田食品(株)(福島県相馬市成田字大作295、電話0120・36・7111)

◆トップインタビュー
野菜栽培に着手 総合農業企業へ

 モヤシ製造のリーディング・カンパニー、成田食品(株)(福島県相馬市、電話0244・36・7777)は、モヤシの歴史を変えたといわれる「ベス トモヤシ」をはじめとするヒット商品開発により、モヤシの需要拡大、市場の活性化に取り組んできた。このような消費者のニーズに応えた品質の良いモヤシづ くりに励む一方、製造工程における残滓排出ゼロへの取り組みなど、環境に配慮した、社会的責任を果たした企業姿勢を示している。また、最近では、モヤシ製 造技術を生かした、ほかの野菜作りの実験的研究も始め、安心、安全な国産野菜の供給による、日本人の食環境の保護にも乗り出している。明日の日本の食づく りに、飛躍と発展が期待できる成田食品(株)の佐藤義信代表取締役に、最近のモヤシ事情と、今後の取り組みについて聞いた。(斉藤昌也)

モヤシ製造・販売の現状についてお聞かせください

▽佐藤
 モヤシ市場の伸びは横ばい。食品価格のデフレ傾向は相変わらず続いていますから厳しいですね。一方、原油価格の高騰などで資材コストも依然高い。どの業界 もそうだと思いますが、いかに生き残るか、苦労しますね。世相の合理化機運が追い風となり、モヤシ市場も再編の動きが、そろそろ始まるのではないでしょう か。
 このような状況の中で、われわれは、いかにお客さまに喜んでいただけるものを、適切な価格で提供できるか、日夜、努力を重ねています。幸いなことに、根を 省いた緑豆モヤシの「ベストモヤシ」は高付加価値野菜として定着しましたし、新たに打ち出した小大豆モヤシ「まめどん」や黒豆モヤシ「くろっぺ」、アル ファルファの「ヘルシーレディ」も好評をいただいています。
また、根と芽の両端をカットしたモヤシの製造ラインも開発中。これまで高級飯店などで手間暇かけて処理していた厨房作業を省いてしまう夢のような商品です。製品化すれば、かならずお客さまに受け入れていただけるものと確信しております。

環境対応への取り組みも早かったですね。

▽佐藤
 モヤシの製造工程で生じるクズは、これまで焼却処分していたのですが、これらを飼料や肥料として利用する循環システムの確立にめどが立ちました。また、工 場で使用した水も、独自の浄化システムによってきれいにして自然にかえしています。これは企業の社会的責任として当然のことだと思います。われわれは自然 の恵みを得て、それで商売させてもらっていますからね。人々の健康、安全を考えた食品作りの一貫として、地球を汚さないということもあるわけです。

現在、力を入れていることは。

▽佐藤
 もちろんモヤシをいかに食べてもらうか、買ってもらうかです。 モヤシは非常に優れた野菜です。第1に、ビタミンやミネラルを豊富に含む健康食品であり、しかも、価格も安い。
 第2に、手軽に使える簡便性を持っています。袋から取り出して、炒めるなり、お湯に通すなりすればすぐに食べられる。包丁もまな板も必要のない野菜はモヤシくらいではないでしょうか。
さらに第3のモヤシの長所として、安全性を保証できる野菜であるということがあげられます。露地で栽培される普通の野菜と違い、施設の中で水耕栽培されるモヤシは、完全無農薬で作ることができ、しかも、気候に変動されない安定供給が保証できます。
 このような優れた食品であるモヤシを、もっとお客さまに食べていただくために努力しています。モヤシを使った料理のレシピ紹介はもちろんのこと、気軽に使っていただけるための商品開発を進めています。
 「ベストモヤシ」などもこうして生み出された商品ですし、あまり料理をしなくなってしまった家庭のために、モヤシとほかの具材を合わせた野菜セットや鍋セットのような商品も発売しています。

モヤシ以外に、本格的な農業進出もあると?

▽佐藤
 きっかけは少し変わっていて、われわれモヤシ製造者は、これまで食品製造業に分類されていたんですが、行政上の区分変更により、最近になって農業に分類されることになったのです。
 それならばうちの先代はもともと農家でしたし、モヤシ以外の野菜も作ってみようということになりました。とはいえ、従来のやり方で野菜作りをしても意味が ない。モヤシ作りで培った技術を利用すれば、これまでの農業の常識を覆すような野菜作りができるのではないか、そう思ったのです。
 温度管理、水量管理、炭酸ガス・酸素管理といったモヤシ作りに必要なノウハウは、野菜作りにもそのまま利用できます。2万平方メートル程度の施設で作った野菜を、来年を目標に、当社の加工製品用に使い始めたいと思っています。

成田食品からナリタ・ファームへの飛躍ですね。

▽佐藤
 要は日本の食をなんとかしたい。ただ生きるために食べるのではなくて、味わって、楽しく食べたい。そのために、新鮮でおいしく、安心できる食べ物を安定供 給したいという願いの結果です。気候変動に影響されず、完全無農薬が可能で、製造履歴(トレーサビリティー)もしっかり残すことのできる安心野菜の栽培 に、われわれならできることが多くあるのではないか? 日本の食環境を守りたい、それがわれわれの願いなのです。

ありがとうございました。


代表取締役
佐藤義信(さとう よしのぶ)